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  • 執筆者の写真Kaisei

【特集】ベトナムの建築を支える町

ベトナム南部のメコンデルタ地域に位置するビンロン省(Vinh Long)は、その土地の土壌を生かしたある産業が盛んである。


「南部ビンロン省の運河沿いに並ぶレンガ窯(写真:Kaisei)」の写真
南部ビンロン省の運河沿いに並ぶレンガ窯(写真:Kaisei)

世界各国地域の建築様式の違いには、その土地の文化や生活習慣、気候や災害多発地帯などによる違いが現れている。


イタリアには、2000年以上も前に石材で建てられたローマ建築の円形闘技場が今もなお現存している。1300年以上前に建てられた日本の法隆寺の五重塔は、その当時から地震を想定した巧みな耐震構造は、東京スカイツリーの建設にも導入されている。

アフリカでは泥を塗り固めて小屋を造り、モンゴルの遊牧民は移動が可能なゲルで暮らし、ブラジルのアマゾン流域には川の上に木を組んで建てた水上家屋がある。


これらすべての特徴は、その土地に適した建築様式が採用されている。1年を通して台風や地震が多い日本では、イタリアのように石で建てられた建造物が何千年も先まで建ち続けるのは困難だろう。


では、ベトナムではどうだろうか。

南部ホーチミン市の年間平均気温が27度で、地震がほとんどないベトナムでは、強度よりも高温多雨に強い過ごしやすい建築であることが重要視される。

そのため、ベトナムの家は、レンガとセメントで建てられている。

一見コンクリート造のように見える建物でも、表面のセメントが剥がれた隙間からオレンジ色のレンガが姿を表している。


そんベトナムの建築様式に欠かせないレンガ製造の産業が盛んな町が、ビンロン省である。


「上部が煙突になっているレンガ窯の内部(写真:Kaisei)」の写真
上部が煙突になっているレンガ窯の内部(写真:Kaisei)

ビンロン省が位置するメコンデルタ流域は、セラミックレンガを生産するのに欠かせない材料である弾力性のある粘土を作り出す。そのため、原料や完成品の輸送をより容易にするため、運河の岸辺に沿って数十基のレンガ窯が立ち並んでいる。


生産が全盛期の1980年代にはこの地域一帯で1000以上の生産施設があり、常時3000基以上の窯が稼働し、カンボジアやタイなどに輸出されていたという。


このレンガ窯は、数千個のレンガで造られた高さ10メートル前後の巨大な造りである。また、炉の直径はおよそ7メートルで、上部には穴が空いており煙突の役割をしている。



「焼きの工程を終えた植木鉢(写真:Kaisei)」の写真
焼きの工程を終えた植木鉢(写真:Kaisei)

私がちょうどある窯小屋を訪れた時期は、テト(旧暦のベトナムの正月)に使われる植木鉢の生産がピークで、これから焼く前に乾燥させている大小様々な大きさのものや、焼き上がったばかりの薄みがかった茶色に色が変わった植木鉢が小屋中に並べられていた。


また、ビンロン省の街中では同じ粘土で作られた壺やオブジェをよく目にし、レンガをモチーフにしたカフェなどもある。








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